銅板は日本の風土や気候に適しているとされ、古来より寺や神社に屋根材として使われてきました。
銅板は最初こそ光沢のある赤橙色(せきとうしょく)ですが、経年により色が変化していきます。
数十年が経つと、深い緑青色になります。
近年では住宅の西洋化が進んでいることもあり、銅板を屋根材にした建物はどんどん減ってきています。
しかし、銅板屋根ならではの趣に惹かれる方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、銅板屋根の葺き方や工事の注意点を解説します。
読むことで銅板屋根の葺き方を知って失敗を避けましょう。
なお、雨漏りが心配な方は「雨漏りが起こる前に知っておきたいこと」をご覧ください。
以下では、銅板屋根の葺き方や手順について解説していきます。
葺き方を知っておけば業者がおかしな手順の見積書を出してきた場合に指摘できるようになります。
銅板の屋根葺きには、主に以下の工程があります。
銅板をカット
銅板をはぜ折り
ルーフィング
銅板の取り付け
それでは、みていきましょう。
まずは、コイル巻きされた銅板をカットしていきます。
よく使われるのは、455ミリ幅のものです。
縦長方向に4つか6つ、または8つに切り出して、加工していきます。
銅板を切り出したあとは、板をはぜ折りします。
はぜとは、銅板同士をつなぎ合わせるために折り曲げた部分のことです。加工した銅板を取り付ける前に、ルーフィングを張ります。
ルーフィングとは屋根材の下に敷く防水シートのことで、下葺き材とも呼ばれています。ルーフィングの張りが完了したら、銅板の取り付けです。
吊り子という金物で屋根材を下地に固定していきます。
吊り子の一端は屋根材のハゼで巻き込み、もう一端は下地に釘で打ち付けます。
銅板屋根の葺き方には様々な種類があります。
その中でも代表的な「一文字葺き」と「腰葺き」について解説します。
一文字葺きは「横葺き」の一種で、屋根材を水平方向に葺いていきます。
前段の屋根材の真ん中に目地をもってくるのが特徴です。
一文字葺きのメリットは、デザイン性が高いということです。
金属板による一文字葺きは、豊富な素材やカラーバリエーションによって和風から洋風の家まで全国各地で採用されています。
デメリットは、緩い勾配(20/100以下)には対応できないことです。
屋根材を重ねると段差ができてしまうため、緩い勾配にすると雨水が上手く流れずに段差から雨漏りする恐れがあります。
腰葺きとは、銅板葺きと瓦葺きを組み合わせた屋根です。
軒先から軒桁あたりまでを銅板葺きとし、軒桁から上は瓦葺きとする工法です。
メリットは、建物に高級感が出ることです。
格式の高さを演出できるので、日本料理店で多く採用されています。
デメリットは、銅板部分に穴があきやすいということです。
瓦の中央部から垂れる水の摩擦により、銅板にダメージが蓄積されて穴があいてしまうことがあります。
銅板屋根の葺き替えの注意点は3つあります。
交換直後は目立つ
施工できる業者は限られる
電食(電蝕)に注意する
上から順番に解説していきます。
銅板の色はもともと、光沢のある赤橙色(せきとうしょく)です。
最初の数か月はかなりの輝きがあり、建物に馴染まないかもしれません。
しかし、光沢は半年ほどで落ち着いてきます。
数年後には暗い褐色の色へと変化し、数十年後には美しい緑青色になります。
銅板は、色の変化を楽しめる数少ない屋根材なのです。
銅板屋根の施工は板金業者が行います。
しかし、銅板屋根は近年では珍しい工法だけあって施工できる業者は少ないです。
専門業者でさえも簡単には工事ができないほど、難易度が高い工法でもあります。銅板屋根を取り入れる場合は、「電食」に注意する必要があります。
異なる金属同士が接触すると、電位差により電子が移動します。
電子を失った金属イオンが溶け出し、腐食することを電食といいます。
接触していなくても、異なる金属板を伝ってきた雨水からでさえも腐食することがあります。
他の金属板を近くに設置しないことが一番の回避方法です。
どうしても接触させなければいけない場合は、接触面に絶縁テープやパッキンを噛ませましょう。
銅板屋根の工事は、専門業者でさえも苦労するほど難しいものです。
銅板は、電食といった変わった性質を持つ材料なので、施工には高い専門知識が必要です。
趣があり美しい銅板屋根ですが、施工には高い技術と知識が必要です。
失敗して雨漏りを引き起こしたくないのであれば、必ず実績のある業者に依頼をしましょう。
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