屋根の勾配の計算方法から使える屋根材の選びかたまでを解説
どの家の屋根にも必ず付けられているのが勾配(傾斜)です。
屋根の勾配は雨水を流すのに必要で、積雪量の多い地域では勾配をきつくして
雪の重みで屋根が落ちるのを防ぎます。
勾配の大きさは、気象条件と屋根材の種類を考えて決められていて、
勾配のきつい屋根・ゆるい屋根、それぞれメリット・デメリットがあります。
この記事では,
屋根の勾配ごとのメリット・デメリットと、勾配ごとに使用できる屋根材の種類をご紹介
しますので、ぜひ最後までご覧ください。
屋根の勾配と面積の計算方法
屋根のリフォームで気になるのが料金ではないでしょうか。工事価格は屋根の面積で決まるため、屋根面積が大きくなる急勾配(きつい傾斜)のほうが料金は高くなります。
また、業者にすべて丸投げするのではなく、自身も屋根面積の計算方法を知っておくことで、料金トラブルを回避できるのでこの機会に覚えておきましょう。
屋根の勾配に関する表記は3種類あります。
1. 寸法勾配(尺貫法勾配)
2. 分数勾配
3. 角度勾配
それぞれどのような勾配なのでしょうか
1.寸法勾配
10寸(約3cm)の水平線に対して、直角に伸ばした線が何寸あるかで表します。
10寸の直角に対して1寸(約3mm)伸びると「1寸勾配」、5寸伸びると「5寸勾配」です。
2.分数勾配
10寸の水平線に対して、直角に伸ばした線が「何分の何寸」になるかで表します。
10寸の水平線に対して直角に5寸伸ばす場合は以下のようになります。
「直角線」5寸÷「水平線」10寸=「10分の5」または「2分の1」寸
3.角度勾配
勾配の角度をそのまま「°(度)」で表したものです。
一般的に最もイメージしやすいですが建築業界では滅多に使いません。
また、屋根の勾配でおすすめの傾斜は「4寸勾配」です。
おすすめする理由は3つあります。
1. ほとんどの屋根材を使用できる
2. 雨漏りのリスクが低い
3. メンテナンスをおこなう際に足場を組む必要がない
このため、屋根の勾配で迷ったときは4寸勾配を選ぶようにしましょう。
屋根の勾配ごとのメリットとデメリット
屋根の勾配は大きく3つにわけることが出来ます。
· 急勾配:6寸勾配(角度にして31°)以上
· 並勾配:3寸~5寸勾配(角度にして16.7°~26.6°)
· 緩勾配:3寸勾配未満(角度にして~16.7°未満)
それぞれの勾配のメリット・デメリットをご紹介します。
急勾配のメリットとデメリット
急勾配はデザイン性が高く雨漏りに強いメリットがあります。
一方で、デメリットには料金の高さがあげられるでしょう。
他にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
急勾配のメリット
メリットは以下の4つです。
· 雨漏りのリスクが低い
· 屋根裏収納スペースが広くなる
· デザイン性が高い
· コケが発生しにくい
勾配がきついと雨水がすぐ流れ落ちるので雨漏りしにくく、
雨水も溜まらないのでコケが生えにくくなります。
急勾配のデメリット
デメリットは以下の2つです。
· 施工料金が高い
· 耐風性が弱くなる
施工料金が高くなる理由は、足場を組む必要があることと、
屋根面積が広いからです。また、勾配がきついぶん風の抵抗を受けやすいので、
耐風性が弱くなります。
並勾配のメリットとデメリット
並勾配はほとんどの屋根材が使えるメリットがあります。
一方で、デメリットにはデザイン性の低さがあげられるでしょう。
他にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
並勾配のメリット
メリットは以下の3つです。
· 4寸勾配以上ならほとんどの屋根材が使用できる
· もっとも普及しているためデザインが豊富
· リフォームの際に足場を組む必要がないことが多い
国内でもっとも普及している一般的な勾配のため、
デザイン性やコスト面で色々なメリットがあるスタンダード勾配です。
並勾配のデメリット
デメリットは以下の2つです。
· ポピュラーな勾配のため外観が他の家と同じ印象になりがち
· 立地条件によっては緩勾配や急勾配のほうがメリットは大きい
デザインにオリジナリティを求める場合だと並勾配は不向きです。
また、年間雨量が多い地域や年間積雪量が多い地域では急勾配と緩勾配のほうが
メリットは大きくなります。
緩勾配のメリットとデメリット
緩勾配は風に強いメリットがあります。
一方で、デメリットには雨漏りのしやすさがあげられるでしょう。
他にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
緩勾配のメリット
メリットは以下の3つです。
· 風圧がかかりにくいので台風に強い
· 積雪による落雪事故を防げる
· リフォームの費用を抑えられる
積雪地帯で多い落雪事故や雪解け水によるトラブル、台風の風による屋根の破損を防止できます。
また、屋根面積が小さいのでリフォームの費用を抑えることができます。
緩勾配のデメリット
デメリットは以下の3つです。
· 雨漏りのリスクが高い
· 使用できる屋根材が限られている
· 雨水が溜まりやすいためコケが発生しやすい
効率的に排水できないために雨漏りとコケ発生のリスクが高くなります。
また、使用できる屋根材は金属系のものに限定される場合が多いです。
屋根の勾配によって決まる屋根材の
屋根の勾配によって決まる屋根材の使用条件
屋根の勾配で使用できる屋根材に違いがあるので、主に使用される3つの屋根材の使用条件をご紹介します。
金属屋根
金属屋根の必要最低勾配は、1寸勾配(角度にして5.57°)以上です。
スレート屋根
スレート屋根の必要最低勾配は、3寸勾配(角度にして16.7°)以上です。
瓦屋根
瓦屋根の必要最低勾配は4寸勾配(角度にして21.8°)以上です。
ただし、スレート屋根から瓦屋根への葺き替えは耐震性の関係でできません。
まとめ:屋根の勾配に適した素材を選ぶことが長持ちの秘訣
雨漏りの修理や、デザインをおしゃれにしたいと考えても、
屋根の勾配で使用できる屋根材は変わってきます。
あなたの家の屋根に適した材料を使うことで耐久性を
最大限発揮できるようになるでしょう。
屋根の種類などについては、
「屋根の材質や形状の種類を徹底解説!それぞれのメリット・デメリットとは」
でも詳しく紹介しています。