台風が来ても安心!強風でも飛ばない屋根の種類や工法を紹介
毎年のように台風や春一番の強風に見舞われる日本。
被害の様子を伝えるニュースを見るたびに、「自宅の屋根は大丈夫?」と心配になる人も多いでしょう。
自宅の屋根が飛ばないようにするためには知識が不可欠です。
この記事では、飛ばない屋根にするための材料の種類や具体的な工法、費用などを解説していきます。
読むことで、自宅の屋根を飛びにくくする方法がわかるでしょう。
飛ばない屋根とは
飛ばない屋根とは、「下地に屋根材が確実に固定された」屋根です。
下地と屋根材の固定が不十分であればどのような材料を使っても飛びやすくなります。
また、どんなにしっかりと施工された屋根でも、年月によって劣化していきます。
定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
点検だけなら、費用の相場は5,000~15,000円です。
工事を依頼すれば点検費用が割引やサービスになる場合もあります。
事前に業者に確認しておくようにしましょう。
損害が出る前に対策を!屋根材ごとの強風被害の例
強風で屋根が飛ぶと、どのような被害が出るのかを、以下の3つの例で紹介していきます
- 瓦屋根
- スレート屋根
- 金属屋根
具体的に見ていきましょう。
瓦屋根に多い被害
瓦は重くて飛びにくいと思われるかもしれません。
しかし、固定する釘のゆるみを放置していた場合には、瓦でも強風で飛んでしまいます。
また、2つの屋根面の合わせ目を覆う棟瓦(むねがわら)は、通常の工法では漆喰と銅線で固定されています。
漆喰や銅線が経年劣化を起こすと、棟瓦が崩れて飛ぶ可能性があるので注意しなければいけません。
スレート屋根に多い被害
スレートには薄い粘板岩を使った天然スレートと、「コロニアル」「カラーベスト」などの人工スレートがあります。
日本の住宅のスレート屋根の多くは、セメントに繊維を混ぜて製造された人工スレートです。
スレートは瓦と比べて軽量です。
それでも、スレートが隣家の窓などを直撃して大きな損害を出すことがあります。
また、屋根面の合わせ目を覆う棟板金(むねばんきん)が飛ぶ例も多いです。
大きな部材のため、近隣の建物や人に対して多大な損害を与える恐れがあります。
金属屋根に多い被害
金属屋根は軽量なので、建物の耐震性を確保しやすいのがメリットです。
けれども、軽いせいで、棟板金だけでなく屋根面の大半が飛んでしまったケースなども報告されています。
特に金属板を縦方向に葺く「縦ハゼ葺き」や「瓦棒葺き」は、大きな金属板が一気に強風で飛ぶ場合があり、要注意です。
上の例からわかるように、どのような屋根材でも強風で飛ぶ可能性があります。
では、飛ばない屋根にするにはどうしたら良いでしょうか?
自宅の屋根を飛ばないようにするための補修方法
飛ばない屋根にするために、屋根材ごとに点検のポイントと具体的な対策法を3つ解説します。
- メンテナンス
- 葺き替え
- カバー工法
「葺き替え」は今の屋根材を撤去して新しい屋根材に替える工事です。
「カバー工法」は、既存屋根材の上から新しい屋根材で覆っていく工法です。
「葺き替え」と「カバー工法」にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
葺き替え | カバー工法 | |
メリット | 劣化した下地も交換できるので、屋根だけでなく家全体の寿命が伸びる | 工期が短い |
現状より軽い屋根材に葺き替えれば耐震性が向上する | 費用が少なくて済む | |
屋根材の選択肢がある | 屋根が二重になるので断熱性、遮音性が向上する | |
デメリット | 工期が長い | 下地の劣化を見過ごしたままカバーされる可能性がある |
費用が高い | 太陽光パネルの設置が難しい | |
廃棄物が多い | 使えるのは金属屋根のみ |
それでは、屋根材ごとの対策と費用を見ていきます。
瓦屋根
瓦屋根は耐久性に優れています。それでも10年に一度は点検とメンテナンスを行い、30年に一度は葺き替えを行いたいものです。
点検
瓦屋根の点検では次のポイントを確認します。
- 棟瓦のズレ、漆喰、銅線の劣化はないか
- 瓦の割れ、釘の劣化、固定のゆるみはないか
- 桟木や防水シートの劣化がないか
劣化が見つかった場合、必要な対策を行います。
メンテナンス
瓦数枚や棟瓦だけの補修で充分な場合には、部分的なメンテナンスを行います。
費用の目安は20~35万円前後です。
この費用には10~15万円の足場代が含まれています。
葺き替え
瓦屋根には「カバー工法」が使えません。
ただし、瓦の劣化が少ない場合には、「葺き直し」ができます。
「葺き直し」は既存屋根を撤去し、下地材と防水シートを交換した後、元の瓦を再利用する工事です。
瓦の購入費と古い瓦の廃棄費用が不要なため、「葺き替え」より費用を抑えられます。
「葺き直し」費用の目安は100~150万円です。(屋根面積100平方メートルの場合、以下同)
傷んでいる瓦が多い場合は、「葺き替え」になります。
再び瓦に葺き替えるなら、覚えておきたいのが、「ガイドライン工法」です。
2001年に策定された、台風や地震に強い瓦施工のための指針です。
業者がガイドラインに沿って施工してくれるか、確認しておきましょう。
また、「防災瓦」という新しい瓦は、瓦同士がかみ合って固定され、台風にも地震に強いのが特徴です。
「ルーガ」という製品は風速60m/s、「スーパーJ1」は風速46m/sにも耐えられる設計です。
通常の瓦より割高になるものの、検討の価値はあるでしょう。
瓦への葺き替え費用の目安は150~250万円になります。
スレートや金属屋根など、他の屋根材で葺きかえれば、新築のように自宅がリフレッシュするでしょう。
屋根が軽量になるので耐震性能も向上します。
瓦屋根からスレート屋根への葺き替えの相場は140~180万円です。
金属屋根(ガルバリウム鋼板)への葺き替えは160~200万円が目安です。
スレート屋根
スレートは強風で飛んできた物との衝突、乾燥、凍害などでひびが入ってしまいます。
放置しておくと台風などで飛ぶ可能性があり、危険です。
最低でも5年に1度、できれば毎年点検すると安心です。
点検
点検で確認するは次のポイントです。
- スレートの浮き、割れはないか
- スレート・棟板金の再塗装は必要か
- 棟板金の浮き、釘抜けはないか
- 防水シートや下地の劣化はないか
点検の結果に応じて、メンテナンスやリフォームで対処していきます。
メンテナンス
数枚にひび、割れが見られるだけで下地の劣化もなければ、シーリング接着や数枚のスレート交換だけで済みます。
棟板金の浮きや釘のゆるみがあった場合には固定し直します。
スレート交換や釘打ちはそれぞれ1~5万円程度です。
スレートの塗装が剥げてくると雨水が透過し、スレートだけでなく、下地までも痛む原因になります。
葺き替えまでは必要がなくても、10年に一度は再塗装することで家の寿命を伸ばせます。
塗装費用は足場代も含めて100平方メートルで20~60万円が目安です。
葺き替え
スレートの劣化が激しい場合には「葺き替え」か「カバー工法」によるリフォームが必要になります。
新築時からスレートで葺かれた住宅は、瓦屋根を支える強度がありません。
「葺き替え」の屋根材はスレートか金属(ガルバリウム鋼板)が選択肢です。
スレート屋根からスレート屋根に葺き替える場合は70~140万円が相場です。
金属屋根にする場合は90~180万円が目安になるでしょう。
カバー工法
「カバー工法」でリフォームすれば、短い工期と少ない費用で済みます。ただし、下地やスレートの劣化が酷いままカバーしてしまうと、内部で劣化が進行してしまいます。
下地に問題がないことを必ず確認しましょう。
「カバー工法」の費用相場は100平方メートルで80~150万円です。
金属屋根
トタン屋根はサビやすく、劣化したものは強風により飛散する可能性があります。
一方、現在主流を占めているガルバリウム鋼板は、耐久性の高い素材です。
それでも、屋根材と屋根材のつなぎ目を埋めるシーリング(コーキング)というゴムのような部分は10年ごとの点検・補修が必要です。
点検
金属屋根では、次の点に注意して点検します。
- 金属面にキズ、サビはないか
- 棟板金の浮き、釘やビスのゆるみはないか
- シーリング(コーキング)の劣化はないか
- 再塗装は必要か
- 雨漏りがある場合は、屋根の上だけでなく、屋根裏からも点検する
部材の浮き、釘やビスのゆるみ、シーリング(コーキング)劣化を放置すると、強風で屋根材が飛ぶ原因になります。
適切な処置をとりましょう。
メンテナンス
釘やビスを締め直し、シーリング(コーキング)の補修または打ち直しを行います。
費用は1mあたり900~1,500円が目安です。
塗装の色褪せなどが見られる場合には、塗装もしておきましょう。100平方メートルで30~80万円が相場となります。
葺き替え
屋根材の損傷が激しい場合、水が回って下地が傷んでしまった場合には、葺き替えを行います。
スレート屋根と同じく、金属屋根よりも重い瓦屋根に葺き替えることはできません。
トタン屋根を撤去してガリバリウム鋼板に葺き替える場合、100平方メートルで約120万円が相場です。
カバー工法
下地に劣化がなければ、「カバー工法」によるリフォームも選択肢となります。
費用の目安は100平方メートルで80~150万円です。
まとめ:飛ばない屋根にしたいなら信頼できる業者にまず点検を依頼しよう
強風でも飛ばない屋根にするためには、全ての屋根材が固定されている状態の維持が必要です。
既存の屋根材や下地の劣化具合によって最適な対処法は変わってきます。
特定の屋根材や工法を売りつけたい業者、手抜き施工をする業者は要注意です。
総合的なアドバイスができ、施工の信頼性も高い業者に相談することが重要となるでしょう。
屋根は見えない部分なので、点検結果を画像で報告し、詳細な見積もりを出す業者が安心です。
相見積もりをとって、慎重に選びましょう。
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